Tuesday, January 19, 2010

ギリヤーク

僕の友人で、森君という吾人がいる。彼は早くして癌で他界した。彼の葬式では、人目も憚らず号泣したのを覚えている。
彼とは中学からの友人で、高校は別々だったが良く遊びを共にした。名古屋の金城学園の女子(金持ちお嬢様学校)を紹介してくれたり、音楽仲間を紹介してくれたり、とか色々と人と人を繋げる接着剤みたいな奴だった。その当時の友人とは今でも付き合いがあり、仕事での付き合いもある。

僕は、小学校5年の時に、ビートルズの音と出会い、それ以来、外国の音楽に傾倒している。だから、日本の音楽はとんと興味がない。カラオケに行っても知っている曲が少ない、面白くない。そんな時期に名古屋のヤマハは東京・世界を結ぶ唯一の音楽情報の基地であった。そこで貧乏な僕は3ヶ月に一度アルバイトで貯めたお金を持って外版を購入する。当時の外版LPの価格は3000円から4000円した。日本版が1500円~2000円の時代だ。欲しいアーティストを探し当て、売り場に行くという楽しみがあった。

その森君とは東京に出てきてもお世話になる。彼の接着効果はアロンアルファ以上に強力になっていた。色々な人を紹介される。
その中の一人にギリヤーク尼ヶ崎がいる。

当時学生の僕は40数歳の大道芸人の彼との会話が怖かった。が森君のペースで物事が進み馬鹿話も出来るようになった。本当に変な人だと思ったが、現在まで自分の意志を貫くバイタリティには感服する。彼の舞踏以外のメジャーな仕事として、伊丹十三の「たんぽぽ」にホームレス役でオムライスを食らう場面がある。そこでの主人公は彼である。

その後、30年ぶりにギリヤークという奇妙な固有名詞と遭遇したのは、村上春樹の1Q84である。1Q84の上巻の460ページあたりからギリヤーク人についての解説っぽい文面が始まる。ギリヤーク人の生活・性格・体格・等を理解する。北海道出身のギリヤークさんの名前の由来が分かったような気がする。