Sunday, December 20, 2009

小津エピソード

僕はオールディーズの映画はあまり見ない。その理由として、何とも言えない早口が気にかかる。感情が表に出てこないからだ。
黒沢・溝口・小津もしかりだ。でも、我慢して見るとそれを除けば素晴らしい作品群を発表している。
例えば、小津安二郎監督の映画「麥秋」殆ど茶の間のカットが延々と続く。
これに目をつけたのが山田洋次監督である。彼はこの特徴をいかし、2010年新春に、映画「麥秋」を舞台化する。
そして、脚本・演出を手がける。是非、観劇してみたい。楽しみである。

そこで小津安二郎にまつわる面白いエピソードを何個か。

其の1
意外と知られていないが、第一回監督作品は、アメリカ映画を下敷きにした時代劇『懺悔の刃』。
その後小津さんは二度と時代劇を撮っていないので、デヴュー作が最初で最後の時代劇だったのだ。
残念ながらプリントが現存しないため、シナリオ、スティールなどで雰囲気を味わってほしい。
なお、小津さんの戦前の作品はいわゆる"小津調"ではなく、コメディー、青春喜劇、サスペンス、エログロナンセンス、恋愛ドラマなどなど、バラエティーに富んでいる。
ぜひ観られるものは観てみよう。

其の2
小津組は残業ゼロ。午後3時か4時ごろからの"ミルクの時間"と呼ばれる酒盛りが始まるからである。
ちなみに小津さんの昼食は、生卵をおとした黒ビール一杯だけだった。"ミルクの時間"を楽しく過ごすにはこういった努力?が必要だったのかな。
ただし残業ゼロといっても撮影日数は他の監督作品よりも多かったはずである。酒を楽しみつつ、自分の作品には妥協せず取り組んでいく。これもひとつの小津スタイルでしょう。

其の3
小津さんは草野球狂だった。スタッフ・役者には野球の強い人を集めていた。映画作品では他の監督と競ったりするのは好まなかったが、野球になると話しがちがったらしい。笠智衆、佐田啓二といった方々は撮影、野球の両方で叱咤激励されていたのかな。なにか微笑ましいなあ。
野球好き、宴会好き、酒好き、なんか小津さんていいですよね~。